あいさつ

「今こそ現場からの発信を」  

関東甲信越静地区造形教育連合 理事長 本間 基史

 昨年度、本連合は中央教育審議会宛に「図画工作科及び美術科の充実に関する要望書」を提出いたしました。新しい学習指導要領改訂において、小学校高学年において英語の時数確保やカリキュラムマネジメント、あるいは小中一体化という観点から、図画工作科や美術科における時数が削減されることの危惧と、教科専門の人材確保と、図画工作科や美術科の学習が、十分な教育成果を得られるような教育課程及び時間数について特段のご配慮を頂けるように要望したものです。現時点では、図画工作科や美術科の授業時数の削減はなく、要望書の提出によって、一石を投じることができたのではないかと思います。引き続き、本年度は新しい学習指導要領改訂に向けて、現場からの声を届けるべく各都県の実践を集めた、題材実践集を関東甲信越静地区造形教育連合のホームページにアップし、ダウンロードして活用できるようにいたしました。
 教育課程企画特別部会の論点整理では「学校は、今を生きる子供たちにとって、現実の社会との関わりの中で、毎日の生活を築き上げていく場であるとともに、未来の社会に向けた準備段階としての場でもある。日々の豊かな生活を通して、未来の創造を目指す。そのための学校の在り方を探求し、新しい学校生活の姿と、求められる教育や授業の姿を描き、教科の在り方を探求していく。この俯瞰的かつ総合的な視点を大切にしたいと考えている。」とあります。
 「社会に開かれた教育課程」の中で、図画工作科と美術科の果たす役割は大きいでしょう。自分を表現する。自己決定する。社会の中で汎用的に使うことのできる能力。これらの力を育成する教科は図画工作科、美術科に他なりません。
 カリキュラムデザインについては、これからの時代に求められる資質・能力を育むために、各教科の学習とともに、教科横断的な視点で学習を成り立たせていくことが課題になってきます。そのため、各教科等における学習の充実はもとより、教科等間のつながりを捉えた学習を進める観点から、教科等間の内容事項について、相互の関連付けや横断を図る手立てや体制を整える必要が出てきます。それゆえに、各教科を往還させる営みの中でこそ、しっかりとした、ぶれない造形教育の立ち位置をはっきりさせる必要があります。「プログラミング教育」の必修化も導入されます。教科で培われる能力を明確にしていくことが、望まれます。 
 今年度、十一月十七日・十八日の両日、神奈川県の横浜市において開催される第五十六回関東甲信越静地区造形教育研究大会神奈川大会テーマは『感じる つくる 生きる』~今をみつめ明日を育む造形活動~です。現行の学習指導要領で改訂され、創造することの楽しさを感じ、思考・判断し、表現する造形的な創造活動の基礎的な能力を育てることの充実に加え、新しい学習指導要領も視座に入れた、生活や社会の中の造形や美術の働きや生きることをテーマにした授業や提案が行われます。グローバルな世界の文化の窓口である横浜の地で本大会が開催できることに、「チーム神奈川」の皆様に感謝いたします。本大会に参加された先生方には、本大会の成果を持ち帰り、今後の研究と実践に生かしていただければと思います。本大会が実り多い大会となりますようご協力をお願いするとともに、中央教育審議会が想定すべき児童像として掲げる「二〇三〇年」に向け「関ブロ」としての連携を一層深め、未来を拓く造形美術教育の在り方を共に考え、取り組んでいくことができればと考えます。

『感じる つくる 生きる』  

~今をみつめ明日を育む造形活動~   

神奈川県造形教育協議会 会長 瀧澤 優子

 本年度十一月に開催する「関ブロ造形教育研究大会神奈川大会」に向け、表題のテーマのもと「チーム神造協」として、心一つに準備に邁進しています。校種を越えた神造協の運営及び活動は、容易なことではなく、悪戦苦闘の連続ですが、戸惑いや悩みを含め、全てを学びと捉え、研究や活動を進めています。「未来を担う子どもたちのために・・・」今、我々教師は何をすべきか。改めて、造形教育の大切さとは何かを自らに問い続けるよい機会をいただいたと捉え、教師自らが、感性豊かに研修を積み、研究を深め、人間力を高めたいと歩んできました。幼小中高大の教員が集まり、様々な出会いやそのつながりを大切に連携力を強化しながら、互いに刺激を受け合い考えや思いを響かせ合い、共感できる喜びや感動を味わい、絆を強くしています。もちろん、課題も多くありますが、課題解決の過程には、よさを追求する姿勢や、高め合う熱い心意気を感じます。授業力向上をめざす教師の姿は、未来を切り拓き、逞しく生き抜く子どもたちを支える大きな力となっていることを確信します。
 幼小中高大という子どもたちの育ちに着目し、学校教育における造形的な創造活動の豊かな展開を推し進めること、そのことを通して子どもたちが、確かに学び、つくりだす喜びを味わい、自分を見つめ、幸せを感じ、夢を抱き、豊かな感性や情操を養いながら、心豊かに力強く生き抜くことを期待し、教師自らが、謙虚に学び続けることを大切にして参ります。このような研究・発信の場をいただき、感謝しております。是非、ご指導いただきたくお願い申し上げます
 多くの皆様のご来訪を神奈川の地(横浜)にてお待ち申し上げております

大会は、次のように実施いたします。

●開催期日 
・平成二十八年十一月十七日(木)  都県代表者会議、全体会、レセプション 
・平成二十八年十一月十八日(金)  公開保育公開授業及び分科会
●大会テーマ
『感じる つくる 生きる』~今をみつめ 明日を育む造形活動~
●全体会会場 
関内ホール
●公開授業・公開保育・分科会 
① 幼稚園「みてみて!」感じるままに

鶴見短期大学附属三松幼稚園 (三公開保育・一ワークショップ)  

②小学校 「やりたい!やってみたい!」思いのままに

横浜市立西寺尾小学校(全学級十四授業・  十一分科会)  

③中学校 「・・・きめた。」 わたしがわたしをつくるとき

横浜市立仲尾台中学校(六授業・六分科会)  

④高校 「こうしてみよう!」つながる学び

神奈川県立上矢部高等学校  神奈川県立相模原中等教育学校 (授業ビデオ)

●レセプション  
メルパルク横浜

長野県美術教育研究会の取り組み

会長 土屋 敏行

 長野県は「東信、北信、中信、南信」の四ブロックで構成され、南北に長い地域の特性を背景に幼保園、小学校、中学校、特別支援学校、高等学校、大学、美術館の先生方が各方面で活躍しています。近年は校内にとどまらず、美術館や地域の美術に関係のある方々との学習の場が多く設定されるようになり、各地から芸術や文化を大事に育む感動と図工・美術を通した成果が数多く生まれています。 本会は県下十五支部の会員から組織され、学び合い、高め合う研修と研鑽を主体的に行い、本年度で七十年目を迎えた研究会であります。子どもたちが楽しく造形活動をする中で、感性や創造的な思考を通わせ合い、自己肯定感を高めながら生きて働く力を培うために、本会の研究テーマを『ひびき合う感性「私っていいな!」楽しく“子どもアート”』として研究を重ねています。

【本年度の主な活動計画】

一 第七十回長野県美術教育研究大会  「上伊那大会」の開催 

  • ⑴ 事前研究会(保育園、小学校、中学校、高校、美術館)
  • ⑵ 本大会 十一月十一日(金)十二日(土)

二 平成二十九年度 全造連・関ブロ・県大会準備委員会の推進
三 長野県美術教育研究会「沿革誌第三巻」の編集

  • ・本会の活動の沿革をまとめ、研究や研修に活用する。

四 第六十七回長野県児童生徒美術展の開催 

  • ⑴ 十五支部で計画、実施
  • ⑵ 選抜展の実施(上伊那大会)
  • ⑶ ブロック展の実施

五 会報の発行(年二回) 

  • ⑴ 七月(第104号)
  • ⑵ 二月(第105号)

六 夏季実技研修絵画講座の実施 

  • 期日:八月一日(月)~三日(水) 場所:信濃教育会館 講師:山本文彦先生

七 研究推進委員会の推進 

  • ・本会研究推進委員と支部研究部との授業研究会を推進(五、七、一月)

八 第十一回東京都図画工作研究会との合同研修の実施
九 代議員会、支部長会の開催 

  • ・年二回(四、二月)

十 ホームページの運営 

  • ・本会の事業、研究を全国に広く発信する場としている。

十一 県外各大会・研修会・研究会への参加と支援 

  • ・全国造形教育連盟との連携 
  • ・関東甲信越静地区造形教育連合との連携 
  • ・各研究会、研修会への参加   

・・・・・・・・・・・・ 本会は図工美術の教師の減少に伴う会員数の減少が心配されていますが、図工美術を通して培う力は、次代を担う子どもたちの大切な資質につながるという願いのもと、校種を超えて共に学ぶ気概をもって集い、研究を進めています。

「東京都造形教育協議会」  

東京都造形教育協議会の活動  

東京都中学校美術教育研究会 会長 茜谷 佳世子

 東京都造形教育協議会(都造協)は、東京都の幼稚園から大学まで、校種別の造形教育研究団体の代表が集まり、東京都の造形教育の発展・振興を図ることを目的としています。また、東京都で開催される学校種を超えた研究大会の実施母体・支持母体であり、関東ブロックや全造連大会などの窓口になっています。
 東京都は各校種の研究組織が独自に研修・研究を行っていますが、東京都の各組織の研究の交流や連絡を行い、各組織をまとめていく機関が必要なことから、本協議会が設立され、年三回を定例会として協議を行い、連携を図っています。
 組織の運営は小学校(都図研)と中学校(都中美)が二年ごとに輪番でその任に当たっています。運営担当は幼稚園から大学までの研究団体の活動の掌握や連絡調整に努めます。昨年度から都中美が担当をしています。今までの活動を振り返り、良きものは継承し、新たな挑戦にも各組織と共通理解を図りながら、積極的に取組んでいこうと思っています。
 今年度、東京では小学校・中学校の研究大会などが次のように開催されます。都図研では、七月に東京都教職員研修センターの教育研究普及事業として「研修会Ⅰ」を中央区立月島第一小学校で行いました。十月十一日には「研修会Ⅱ」が新宿区立愛日小学校で行われます。また夏季休業中には、実践持ち寄り研究会なども行い、図工で培う力について共通理解を深めました。
 十二月九日には「ウルトラサイクル~感じる・考える・やってみる~」をテーマに、福生市立福生第一小学校で第五十五回都図研西多摩大会が開催されます。都中美では、五月の総会で活動計画・組織・予算計画等の確認と周知、日本パッケージデザイン大賞等を受賞したアートディレクターの関本明子氏を講師としての講演を行いました。八月の夏季研修会では、初日に今年度も国立近代美術館を借り切り、学芸員・大学関係者のご支援のもと、約100人の生徒が参加しての対話型鑑賞を実践・研修しました。二日目は生徒作品を持ち寄り、「美術教育と社会」の視点で協議・発表・講演を行いました。第三十四回都中美大会第四ブロック板橋大会は十二月六日に「美術教育と社会~つながり・ひろがり・生成」を研究テーマに板橋区立板橋第五中学校で開催します。それぞれの研究会が長年積み上げてきた歴史ある研究大会・研修会であり、今後も造形教育の充実・発展にむけて、課題を追求していく取り組みを重ね、教員が日々の教育活動を進める上での活力の源にしていきたいと考えております。

群馬県造形美術教育研究会の活動  

群馬県造形美術教育研究会 会長 服部 幸雄

 群馬県では、群馬県小学校中学校教育研究会の図画工作部会と美術部会とが合同で群馬県造形美術教育研究会を組織し、造形美術教育に関わる実践的な研究を進めています。本研究会の組織は、本部役員と県下十七地区二名ずつの地区理事、地区評議員とで構成されています。
 本研究会の主な事業は、次のように総会と研修会を開催しています。
 総会・理事会 六月、二月 
 夏期研修会  八月
 秋期研修会  十一月 
 理事会    二月
 本研究会では、研究テーマ「かかわる楽しさ みなぎる感性 わくわく造形」を掲げ、継続的な実践研究を積み重ねています。
 八月の夏期研修会では、本研究テーマの下、五つの具体的な視点から実践した授業提案を県内各地より持ち寄り、熱心に研究協議を行いました。五つの具体的な視点は次のとおりです。「創造活動の基礎・基本」「素材との豊かな出会い」「自分らしい表現」「見方・感じ方を広げる」「つながる造形活動」
 各視点毎に分科会を設定し、小学校と中学校から授業実践が提案され、子どもにとって「自己実現ができる魅力的な時間」としての図画工作、美術の授業の在り方について協議しました。全体会に続く講演会では、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官 東良雅人先生を講師に、新学習指導要領の方向性を踏まえ、今求められる図画工作科・美術科教育について具体的な話をいただき、有意義な研修となりました。
 また、秋期研修会は、県内各地区を巡回して開催されています。公開授業を中心に「子どもの姿から学ぶ」ことを大切にした研修としています。
 本年度は、五十三回目の開催となり、沼田市中央公民館を全体会場に、沼田市立利南東小学校、沼田中学校で公開授業を行います。沼田市図画工作主任会、美術主任会が中心となり、研究大会の運営のみならず、公開授業に向けた検討や研修を重ねています。
 本研究会の基本的な姿勢「研究の中心には常に子どもの姿があり、子どもからスタートし、子どもに帰る研究」を大切に継承し、これからの時代に必要とされる資質や能力を培う重要な時間としての図画工作科、美術科の授業の在り方を追究していきたいと考えています。

千葉県教育研究会造形教育部会 

会長 平野  正春

 本研究会は、昭和25年5月千葉大附属小において、千葉県内の造形教育の振興を図ることを目的として千葉県美術教育連盟として結成されたのが始まりです。平成二十年度に改新した研究主題「きらめく感性 ときめく思い うみだせアート」を本年度も継承し、充実した活動を進めています。研究組織は、「A:体験や遊びを中心とした造形活動」「B:自分なりの主題を持ち、思いを深める表現活動」「C:よさや美しさを味わう鑑賞活動」「D:造形活動のつながり」という四テーマ六部会で構成されています。それぞれの部会の提案は、年度ごとに計画的に各支会に割り当てられ、継続的に研究が進められています。一年間の大きな活動として、次のように三回の大きな大会を開催しています。①春の「研究大会」(六月開催)で年間の活動計画を立て②夏の「課題別研修」で研究を深め③秋の「研究発表大会」(県内を六ブロックに分けて、県下持ち回りで開催)で研究のまとめを発表するという流れで、充実した研究を進めることができます。また、長年にわたり千葉大学との連携と協力により研究の一層の充実を図ってきました。千葉大学教育学部の先生方に部会の講師をお願いし、春の大会から関わっていただき研究の方向性や視点について示唆をいただいております。◆秋の研究発表大会について昨年度は山武地区で、明日に生きる豊かな感性を求めて・「提案と対話~プロポーサル&コミュニケーション~」を大会テーマに、秋の研究発表大会」が開催され、全体会では、絵本作家・メディアアーティストの岩井俊雄先生を講師としてお招きして「メディアアートから絵本へ」~デジタルとアナログを横断するものづくり~という演題でご講演をいただきました。また公開授業では、小学校6展開、中学校6展開の全学級で授業が展開され、よく練られたダイナミックな題材と意欲的に表現活動に臨む子どもたちの姿が大変印象的でした。本年度の第六十七回「「秋の研究発表大会」は、木更津市立鎌足小学校と木更津市立鎌足中学校を会場として十一月に開催されます。大会テーマ「ひらめき ときめき かがやく瞳(め)~夢(未来を見つめて)人(自分を見つめて)里(地域を見つめて)~」を掲げ準備を進めています。

静岡県美術教育研究部  

静岡県理事 亀山 光生

 本県では、年に三回の研究委員会の開催の中で、各地区の取り組みについて実践や成果の報告を出し合い、課題の検討などを行っています。また、毎年、夏季研究大会を設け、県内を三ブロックに分けた持ち回り制で会場を担当し、県内の部員が一堂に会する中で研究実践を学び合う場を設けています。今年度は、中部の静岡地区が担当となり、県内外より熱心な参加者が、静岡市に集まり、連日の猛暑を吹き飛ばすような爽やかで活気に満ちた大会となりました。
《第四十三回静岡県教育研究会美術教育研究部 夏季静岡大会を振り返って》

★テーマ
「いきいきと表現し合い つくりだす喜びを培う造形教育
★ 期 日
八月 五日(金)
★ 会 場
静岡県立美術館・中央図書館
★ 内 容
午前 全体会(基調提案)記念講演
午後 分科会  
【講 演】講師 石津宏直氏(静岡県立美術館 主査)石上充代氏(静岡県立美術館上席学芸員)
演題『美術館と学校教育』

 今年度は、美術教育研究部の新テーマ「輝き合いつなぎあう造形活動」での、第三回目の発表を行いました。静岡地区が担当となり「いきいきと表現し合いつくりだす喜びを培う造形教育のテーマのもと、県内各地より図工美術の先生方が集まり盛大な大会となりました。午前中は、全体会に引き続き、静岡県立美術館 石津宏直氏の講演「美術館と学校教育」さらに、同上席学芸員 石上充代氏の講演「美術館へ行こう!展 紹介」が行われました。県立美術館は、その使命を「創造的で多様性に富んだ社会を実現していくために存在し、人々が美術と出会い新たな価値を見出す体験の場を提供すると共に、地域をパートナーと考える経営を行い日本の新しい公立美術館となる」とし、学習指導要領にあるように「地域の美術館を利用し連携を図る」に関連し大きく貢献していきたいと講話していただきました。図工・美術教育では、美術館活用の必要性を改めて実感し、今後の指導への新たな活力をいただくことができました。午後は、3つの視点『いきいき表現』『かかわり』『つくる喜び』で設定された3つの分科会が開かれました。「子どもの主体的な学びを重視した造形活動」では、絵の具や粘土の素材に向き合い、触れ合い表現する活動について、「他者とのかかわりを生かす造形教育」では、題材についてこだわりをもち個々から集団へとかかわる対話的な学びについて、「子どもの資質・能力に視点をおいた造形教育」では、鑑賞活動や表現活動の中での深い学びについて、それぞれテーマに取り入れた実践が発表されました。主体的な学び・対話的な学び・深い学びがまさにアクティブラーニングの学びの特徴であり、造形活動から情操や生きる力を養っていくと提案された。授業者がどのように計画し、子どもたちと共に、どのような手だてや支援を行ってきたのか、どの実践も教師の熱意と、子どもたちの生き生きと活動する様子が感じられました。また、評価のあり方や今後の図工美術教育のあり方などについて活発な意見交換がなされ、県内各地の先生方と情報交換や交流を深め合うことができた大会となりました。大会全体を通して「つくりだす喜び」を味わう図工・美術教育は『生きる力』の根幹を成すものであると、参加者は改めて強く実感することができた大会となったことをご報告させていただきます。来年度の第四十四回静岡県教育研究会美術教育研究部夏季大会は、八月十日(木)静岡MOA美術館を開場に東豆地区熱海大会を予定しております。是非、当日は、熱海市へ足をお運びいただき、各地区の皆様と共に、研究をより深めていくことができれば幸いに存じます。

 大会テーマ「HIRAKU」   

新潟県美術教育連盟  会長 立川厚生

 新潟県美術教育連盟(以下「県美連」)は、新潟県の三地区、上越・中越・下越の研究団体と高校の美術・工芸研究団体の連合体として組織し、運営しています。各団体では、独自に研修会を実施したり、展覧会を開催したりして、それぞれの特色を生かした取組を行っています。 一方、県美連としての大事な事業としては、隔年で開催している「新潟県美術教育研究大会」があります。本研究大会は、昭和三十五年の第一回大会から、隔年で下越美術教育研究会、中越美術教育研究会(中美研 )、上越美術教育連盟が持ち回りで主管し、開催しています。 来年度は中美研が主管し、長岡市において、八月十八日に第三十一回大会を開催する予定です。今年度は、そのプレ大会を八月九日に行いました。大会テーマは、「 HIRAKU かかわり つながり みつめる」です。 開かれた学校、開かれた教育の中で、子供たちは、自分の思いや願いをもち、イメージを十分に膨らませ、自らを開いて、生き生きと活動します。子供たちは、造形活動の中で、ひと・もの・ことと出会い、主体的にかかわり、つながりながら、自他の様々なよさや可能性をみつめることを通して、新たな価値を創造していきます。 子供たちが、充実した人生と新しい時代を切り拓いていくことを願い、その具現のための造形教育を子供と共に拓いていく志を大会テーマに託しました。 プレ大会は、長岡造形大学を会場に、新潟県立近代美術館の協力を得て次の内容で行いました。一 子供の活動公開①「目に見えない○○を表す達人、モネ」魚沼市立堀之内小学校6年生児童が、新潟県立近代美術館で開催された「モネ展」を鑑賞した感想を交流した後、長岡造形大学敷地内のビオトープ周辺をスケッチする活動。二 子供の活動公開②「インスタレーション」小・中・高の異年齢の児童・生徒が協働し、段ボールを素材に空間いっぱいに造形物をつくり、そこにゼンタングルで絵を描く活動。参会者も一緒に活動した。三 自由鑑賞タイム①中越教育美術展特別賞作品展②長岡造形大学「丸山正三展」③新潟県立近代美術館「モネ展」四 造形五・十の市 一教室内に造形教育の実践者が自分のコーナーを設け、実践のポスターや作品を紹介しながら参会者と交流する企画。五 パネルトーク 保・幼、小、中、高各一人のパネラーが、大会テーマ「HIRAKU」に関する各校園での捉えや実際の指導、子供の姿、今後の可能性などを語る企画。このプレ大会を通して、保・幼から高校までの十八年間のつながりという視点や、美術館や大学との連携の面からも造形教育を考えることができました。参会者自身が、自らと造形教育を「HIRAKU」プレ大会の体験を基に、来年度の本大会で更に交流を深められることを願っています。

教育現場の変化に対応する 

研修会の更なる充実を目指す   

埼玉県造形教育連合 理事長  関根 隆之

『きらめく感性 つくりだす喜び』  ~子どもが輝く 生き生き授業~これは、幼・小・中・高の連合体である本連合の主体を成す埼玉県美術教育連盟の研究テーマ(三年次)です。「きらめく感性 つくりだす喜び」は、子どもが主体となって、意欲的に自らの世界を豊かに開き、新たな自分をつくりだしていく姿を追求することを目指し、サブテーマの「子どもが輝く 生き生き授業」は、感性を十分に働かせ、つくりだす喜びに溢れるような子どもの姿が実現する授業を目指して、各学校で一人一人の教員が研究を推進することです。このテーマをもとに実施している本連盟の主な活動は次のとおりです。
一、定期会議 

  • ①総会(年一回)②役員研修会(年三回)③正副連盟長・事務局会議(年三回)④専門部・研究部会、編集部会、事業部会(随時)⑤各ブロック研究協議会(五ブロック・随時)⑥各地区研究協議会(十地区・随時)

二、研修会 

  • ①埼玉県造形教育研究大会(授業実践研究会・創造体験研修会)②各ブロック・地区実技・授業研修会(随時)

三、美術展 

  • ①県小・中学校児童生徒美術展(地区展一月・中央展二月)②身体障害者福祉のための児童生徒美術展(中央展十月)③郷土を描く児童生徒美術展(中央展十一月)

以上のような活動の中、表題にあるように、教育現場の変化に対応する研修会の更なる充実を考え、「不易と流行」を大切にし、より現実的・効果的な研修会を実施することが組織として重要と考えています。そこで、本県美術教育連盟では、昨年から埼玉県造形教育研究大会の充実を図り、夏季休業中の一日半の日程で開催することとし実施しています。夏季休業中に実施することで、参加しやすくなっています。
 大会の一日目は、午前中に「授業実践研究会」を実施しました。内容は四つの分科会が設けられ、各分科会で小学校、中学校の授業実践の発表と研究協議を行いました。ただし、実際の授業公開はなく、映像等による授業実践発表をもとに実施しました。午後は、二日目の準備を行うとともに、次年度の授業実践発表者及び指導者等の各分科会担当者の打ち合わせ会を開催し、一年後の発表までに十分な研究と準備ができるようにしました。二日目は、「創造体験研修会」を実施しました。創造体験研修会は、多様な材料や技法から素材の可能性を追求し、参加した教員が、自ら題材を開発する参加者主体の体験型研修会です。内容は五つの実技研修コースが設けられ、県内五ブロックで担当し、各ブロックでは、同一コースを3年間担当することにしているます。これによって、各ブロック内での当該コースについての取り組みを深めることにも繋げることがねらいです。また、各コースを担当するスタッフには、県内各ブロックで活躍する若手教員を積極的に起用するようにし、若手教員の育成も目指しています。新埼玉県造形教育研究大会も改善後2年目を迎え、昨年以上の充実を感じております。今後も、連盟結成六十八年に及ぶ先輩諸氏が築いてこられた歴史を受け継ぎ、これらの活動を更に充実・発展させ、造形教育の振興のため組織を挙げて尽力していきます。

図画工作・美術教育研究部の活動  

茨城県教育研究会   図画工作・美術教育研究部  部長 堀江 俊夫

「感じる つくる 生きる」という大会テーマの下、関東甲信越静地区造形教育研究大会神奈川大会が開催されますこと心からお慶び申し上げます。 さて、本県では、教科、領域等の各研究部が隔年で重点、非重点の指定を受けて活動しています。本年は、図画工作・美術教育研究部は非重点にあたる年ですが、県内四十郡市部を県央、県東、県西、県南、県北と五つのブロックに分けて、それぞれの地域の実態、課題等の実情に応じて研究を推進しています。 ところで、重点教科指定年の昨年、第四十九回茨城県教育研究会図画工作・美術教育研究大会県東神栖大会を「わくわく 夢中 広がる思い」という大会テーマで開催しました。そこでは、子供たちが夢中になって自分の思いを形にしていく姿を見ることができました。輝く笑顔で素材と向き合い友達と関りあい自分の思いを生き生きと広げていく姿に、子供たちが瞳を輝かせ没頭できる授業を展開したいという教師の願いが達成された瞬間を見たように思いました。改めて表現活動の素晴らしさ、さらに人間形成に欠くことのできない教科であることを再認識したのでした。この大会は、図画工作・美術教育が置かれている厳しい情勢の中においての研究大会をどのように持つべきか、その在り方を提案してくれるものでもありました。 本年度は、非重点の年ですが、来年度第五十回茨城県教育研究会図画工作・美術教育研究大会県北日立大会へ向けての準備が始まり、早速、「思いの引き出し あけて カラフル」と大会テーマが決まりました。一人一人が持つ思いを引き出して個性豊かな作品をつくらせたいという願いからのテーマです。どのように大会運営がなされ、どのような成果や課題が生まれるのか今から楽しみです。みんなで関わり、力を合わせた手づくり研究大会から生まれる造形教育の新たな方向性や子供たちが夢を描く可能性など、表現を通して、人間教育として造形教育が果たす大きな役割を教師と子供が共に実感できる研究大会になることを願っているところです。
【本年度の活動】
一  郡市部長会定期総会・研修会
二  夏季実技講習会

  • 【本年度;中学校教員対象】
    • 講義「美術科教育と実践題材としての版画について」   
    • 実技「コラグラフ(版画)」
    • 講師:お茶の水女子大学附属中学副校長 小泉 薫 先生

三  研究調査委員会(研究期間二年)

  •    県内各郡市から選出された研究調査員による実践研究(初年度)

四  第五十回県図画工作・美術教育研究大会日立大会へ向けての準備
五  第五十六回関東甲信越静地区造形教育研究大会 神奈川大会への参加
六  県芸術祭小中学校美術展覧会開催

  • 会場 茨城県民文化センター

七  部報第四十六号発行
本年度の主な活動の成果等は、茨城県教育研究会ウェブページに掲載します。

山梨県造形教育研究会の活動       

会 長  平出 章    

 山梨県では一昨年度開催した、全国・関東甲信越静地区造形教育研究山梨大会の成果と新たな課題を踏まえて、造形教育の取組を進めてまいりました。今後の研究においても、子供たちのために県全体の図工・美術の授業力の向上をめざし取り組んでいきたいと思います。
 関ブロ都県の中では際立って人口も少なく、また学校数も少ない山梨県ですが、少子化の傾向は一層進み、それに伴う小中学校の統合等により、ここ数年で学校数はさらに減少しています。図工・美術の授業時数の削減問題は、現行指導要領策定前から不安視されていましたが、小規模校の多い山梨県の中学校においては、担当授業時数の関係から美術の専任教師の配置がなされない学校が多くなる傾向にあります。そんな厳しい状況であるからこそ、わたしたちは造形教育に関わる教師として、子供たちに育成すべき資質・能力をしっかりとらえ、豊かで主体的な学びの場となる授業をつくるために、互いに情報を共有したり、実践研究を深めたりしていかなければならないと強く感じています。
 本年度は、すでに六月二十八日、山梨県立美術館において「平成二十八年度 山梨県造形教育研究会・山梨県造形教育連合 合同研究大会」を実施しました。研究討議の中では、小さな山梨県の中で造形教育に関わっている教師集団として、悩みや実践を打ち明ける中でより親しくなったり、共通理解を図ったりするようにと小グループによるフリートークの時間を設定しました。「日頃の指導で悩んでいること」や「やってみたい研修」、「取り組みたい題材」等について、思いを書き込んだ付箋を貼り付けながら共通する話題についてグループで話し合いました。
 一月には、山梨県立美術館を会場として「造形教育研究会・造形教育連合 冬季合同研究大会」を実施する予定です。また、今年度も「甲斐のぼこんとう、よっちゃばれ展」と銘打った児童生徒作品展を開催し、活動の成果を広く保護者にも還元していく予定です。
 「図工・美術が好き」という子供たちの声を支えにしているだけでは、教科としての存続危機を払拭することはできません。今後も図工・美術の力を示す授業の追究と共に、保幼小中高とつながる子供たちの豊かな情操や人間性の育成に係る造形活動の重要性を広く発信していく必要があると考えています。

栃木県の造形教育研究会        

会長  渡邊 昌子

 栃木県では昨年度,各都県のご協力をいただく中で,第五十五回関東甲信越静地区造形教育大会栃木大会を開催しました。実り多い授業公開や研究会,分科会等が実施できたと,強く実感する大会となりました。関係各位のご協力に感謝申し上げます。子どもたちが自己実現し,希望に満ちた未来を目指して「つなげよう 自分らしく生きる未来へ」を大会テーマにしました。幼小中高が校種の枠を越えて課題を共有し,これからの未来をたくましく切り拓いていく子どもたちに必要な力とは何か。発達段階に応じた,どのような資質や能力を身に付けさせればよいのか。また,つながりのある生涯学習としての造形教育をどうとらえるか等,真剣に探りながら自らに問い,皆で考え,様々な学びを得ながら研究や準備を進めました。サブテーマは「あふれる思い・うみだす楽しさ・つたえあう喜び」とし,子どもたち一人一人が自分の表現に自信や喜びを見出し,夢中になって取り組めるような授業を展開することで,思いを表現する力,自ら考え創り出す力,他とコミュニケーションする力を高めることができるであろうと考えました。同時に「自分を取り巻く世界とのつながり」「授業における造形活動のつながり」「幼小中校の校種を超えた造形教育のつながり」の3つのつながりを大切にした造形教育を目指し,その取り組みや課題を具現化し,提案させていただきました。

  • ○幼稚園「ひと・もの・場や空間」~めばえ・はぐくむ~
  • ○小学校「夢・いろ・かたち」~豊かなかかわりの中で~
  • ○中学校「想いもとめ・かなえる」~つながるイメージ・色・形~
  • ○高等学校「伝統と革新」~過去と未来をつなぐもの~ どの授業も,子どもたちが五感を精一杯つかって感じ取り,課題を見つけ,多様な材料や用具を選び試行錯誤しながら表現したり,思いを深めたりしていました。

 思いや感性は個々により異なりますが,自己決定をした自分の表現に自信と喜びを見出して,問題解決を図っていました。分科会(ワークショップ)でも県内外から,日々の実践について,多くの研究提案が発表され,情報交換や交流を深めあうことができました。大会全体を通して,図画工作科や美術科等の造形教育は課題対応能力を育成すると同時に,「生きる力」を育む教育であることを改めて確認しました。これからも教材研究や授業展開の工夫改善に努め,造形教育推進に日々努めて参ります

編集語記      

事務局長 伊藤貴光

 皆様にはご多用の中、快く原稿依頼をお引き受けいただきここまでくることができました。お陰様をもちまして平成28年度の会報を完成することができました。ありがとうございました。
 私ごとになりますが、この役目を頂いて2年目になります。これまでは関ブロの活動が当たり前に行われているものだと思っておりました。しかし、一緒にお仕事をさせていただく中で、次のようなことを学ばせていただきました。
 この会報を読み返しますと、各地区での造形教育高い志を感じることができます。ここでご紹介頂いたものはどれも創意に満ちた勉強になることばかりでした。しかし、地理的な条件、または人的な条件、それぞれの地区よって条件は全て異なります。ややもするとここに報告されております研究は非常に厳しい状況でなされたこともあるかもしれません。しかし、諸先生方の熱意と知恵の結晶である、この会報から勉強させていただくことでこれからの勇気を頂いたような気がいたします。
 指導要領改訂に向け大変に重要な時期です。しかし、ここにあります先生方からご指導をいただきながら、これからの造形教育を考えていくことができれば、必ずや素晴らしい成果を得ることができると思いました。
 今後ともご指導よろしくお願いいたします。